ITインフラエンジニアの業務内容(導入)
DXやIoTなどのデジタル化が進む一方で、サーバーやネットワーク、セキュリティなどのITインフラの整備も求められています。
ITインフラを提供するITインフラエンジニアはどのような業務を行っているのでしょうか。
本コラムでは、ITインフラエンジニアの業務内容(導入)を紹介していきます。
ITインフラエンジニアの業務内容
ITインフラエンジニアの主な業務内容は、
1. 提案
2. 設計(基本/詳細)
3. 構築
4. 検証
5. 導入
6. 保守
の6つに分けられます。
本記事では
5. 導入
の紹介をしていきます。
導入
検証が完了したら、導入を行います。
導入では、作業の段取りの詳細を決めて、その通りに実行します。また、物理的な作業を伴うため、安全への配慮も必要となります。基本的な流れは、検証で利用した機器の設定を変えず、そのままお客様先へ移動させ切替に備えて準備します。
準備が完了したら、切替作業と通信確認、アプリケーション確認、障害試験などで切替当日に動作確認を行います。
この動作確認も完了し、翌営業日の立会いまで問題なく終われば、導入工程は完了です。
ここからは、導入工程のそれぞれの項目の内容を紹介します。
作業計画書の作成
導入の段取りやスケジュールを作業計画書に記載します。
主な記載内容
・導入作業の日程
・担当メンバー、車両情報
・導入作業当日のスケジュール
・導入作業当日の作業工程(詳細な作業手順を含む)
・各工程の想定所要時間
・サービス停止が発生する場合の停止時間
・意図しないトラブルが発生した際の判定基準及び切り戻し手順
これらの内容を作業計画書に記載して、お客様とレビューを行います。
お客様からOKが出れば次の項目を行いますが、お客様と調整が必要な場合があります。
しっかりとお客様とコミュニケーションをとって進めるとともに、お客様での確認・修正が必要になる場合に備えて余裕を持って作業計画書を作成・提出する必要があります。
作業計画書の作成は導入作業品質に大きな影響を与える重要な工程であり、上級エンジニアの担当またはレビューが望ましいものとしています。
機器搬入
導入工程では、システム機器をお客様先へ搬入します。
移動により機器が故障しないよう細心の注意を払って梱包・運搬します。
仮想サーバーについては自社で検証を行っていた場合、お客様仮想基盤環境にOVA(Open Virtual Appliance)ファイルを取り込んで利用できるようにします。持ち込みが許可されない場合は検証工程で確認した作業手順に沿ってお客様仮想基盤上で構築を進めます。
なお、以降の工程で発生するお客様環境への物理的な作業や撮影については事前にお客様の承認を得ておくことが必要です。
機器ラッキング
お客様環境へ機器を搬入したら、通信用ラックにラッキングします。
設計時に決めた場所へラッキングを行います。
現行機と入れ替えが必要な場合は、切替作業がスムーズに行える場所に配置します。
なお、弊社では安全第一の方針に基づき、作業時の服装や体制などについてラックマウント作業標準を定めており、安全な作業が行えるよう作業者への教育を行っています。
機器接続
機器ラッキングが出来たら、機器同士を接続します。
この際、IPアドレスの重複など既存の通信環境に影響が出ないように注意します。物理的な配線作業時には既設の配線を引っ掛けたりしないよう注意が必要です。また、後の切替作業に備えて、関係するケーブルにタグを付けておく、接続状態の写真を撮影するなどの準備を行います。
動作確認
搬入した機器の動作確認を行います。切替前の検証用IPアドレスを付けるなど、必要に応じて作業計画書に定めたパラメータの調整などを行います。
切替作業
動作確認で問題なく、お客様より切替の承認が得られたら実際に切替作業を実施します。
現行機と事前に配置した機器を入れ替えますが、ケーブルの抜き差しなどの作業が発生する場合は既設の環境への干渉を最小限にするよう十分注意します。また、IPアドレス・サブネットマスクなどの設定変更を行う際にはタイプミスなどないよう、2名でのクロスチェックを行いながら作業します。切替作業時は作業計画書に沿って確認を行います。
主な確認項目
・機器が正常に起動しているか
・意図したポートがリンクアップしているか
・エラーが発生していないか
これらの項目を確認して、問題なければ切替作業は完了です。
切替試験
切替作業が完了したら、正常に切替が完了したか確認します。
主な確認項目
・機器同士が接続されているか
・導入した機器全てに通信できるか
・お客様が利用しているアプリケーションが動作すること
この項目を確認して問題なければ、切替試験は完了です。
障害試験
切替試験が完了したら、テスト計画書に従って障害試験を行います。
検証工程でも障害試験は実施しましたが、あくまでも検証環境での確認でした。検証環境とお客様環境では得られる結果が異なる場合が多いため、必ずこの試験は実施します。
主な確認項目
・障害発生時に意図した動作を行うか
・障害発生時にアプリケーションは動作するか
・各機器を接続するケーブルを抜線した場合に切り替わり(フェイルオーバー)が発生するか
・障害が復旧した際に切り戻し(フェイルバック)が発生するか
・切り替わり、切り戻しにかかる時間
確認項目が多いですがここで確認しないと、運用開始後に障害が発生した場合に大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。また、導入時にシステムの正常性を確認してお客様に検収していただくための重要な工程となります。
これらの項目で意図した動きを確認できれば、完了です。
初稼働
障害試験まで完了したら、切替日の作業は完了です。
ただし、ここまで試験を行っても、実運用が始まるとシステムが使えないことやネットワークが遅いなどトラブルが発生する場合があります。そうなった際にすぐ対応できるように、切替日の初営業日はお客様環境で待機することが多いです。お客様環境で待機することで、トラブル時にすぐ動けるメリットがあります。
初稼働で問題がなければ、導入工程は完了です。
導入工程が完了したら、保守を行います。保守の詳細は別の記事で紹介します。
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