ITインフラエンジニアの業務内容(構築・検証)
DXやIoTなどのデジタル化が進む一方で、サーバーやネットワーク、セキュリティなどのITインフラの整備も求められています。
ITインフラを提供するITインフラエンジニアはどのような業務を行っているのでしょうか。
本コラムでは、ITインフラエンジニアの業務内容(構築・検証)を紹介していきます。
ITインフラエンジニアの業務内容
ITインフラエンジニアの主な業務内容は、
1. 提案
2. 設計(基本/詳細)
3. 構築
4. 検証
5. 導入
6. 保守
の6つに分けられます。
本記事では
3. 構築
4. 検証
の紹介をしていきます。
構築
設計が完了したら、設計項目に従って構築(設定)を行っていきます。
構築は、自社環境で実施する場合やお客様環境で実施する場合があります。
この後の工程で検証(テスト)を行うため、検証に必要なものを揃えて、利用できる状態にします。
構築に必要なものの代表例
・ルータ
・ハブ・スイッチ
・アクセスポイント
・サーバー(Web、FTPなど)
・ケーブル(LAN、光、シリアル変換アダプタなど)
・動作確認用パソコン(ブラウザ、ターミナルソフト)
・インターネット接続環境
・構築用ドキュメント(パラメータシート、製品マニュアルなど)
これら以外にも設計内容によって必要なものが異なるため、それぞれに合ったものを用意します。
ネットワーク構築
ネットワークを構築する場合、まずはネットワーク機器の設定を行います。
主な設定内容
・OS/ファームウェアバージョンアップ
・ホスト名、IPアドレスの設定
・各ポートへネットワーク設定
・ルーティング設定
・冗長設定など
これらの設定が完了したら、ネットワーク機器同士を接続してエラーが発生しないか確認します。
エラーが発生していなければ、ネットワーク構築は完了です。
サーバー構築
サーバーを構築する場合、仮想サーバーか、物理サーバーで構築するプロセスが異なります。
物理サーバーの場合、初期構築として以下のような対応が必要となります。
・検品(発注書通りに製品が納品されているか確認。また各製品のシリアル番号、保守に必要なサービスタグ、ライセンス情報などを記録)
・キッティング(ネットワークI/F、ドライブ、メモリなどの部品がばらばらで納品された場合に本体に組み付けが必要。静電気に注意する)
・ラッキング・配線(ラックマウントサーバの場合、一旦ラックにマウントしてから構築作業を行う)
・起動確認(電源を投入し正常に起動するか確認。不具合がある場合、メーカー・代理店に連絡して原因を切り分け、故障の場合は交換対応)
・RAID設定(OSインストール前にBIOSから設定)
・IPMI設定(DELL: iDRAC、HPE: iLOなど、サーバーを遠隔で管理するためのデバイス)
仮想サーバーの場合は物理サーバーに比較してシンプルな手順となり、ハイパーバイザーにて新規で仮想マシンを作成するだけです。仮想マシンの作成には予め設計工程で決めたハードウェア構成(CPUの個数、メモリサイズ、HDD容量、ネットワークアダプタ)、OS情報(OSファミリー、バージョンなど)が必要となります。
ここからは実装方法は多少異なりますが、物理・仮想ともにソフトウェア的なサーバー設定として設計書に沿って設定を行います。
主な設定内容
・サーバーOSのインストール
・サーバーのネットワークIPアドレス設定
・CPUやメモリ、ストレージなどの設定
・サーバーソフトウェア設定
・バックアップ設定など
これらの設定が完了し、サーバーが正常に立ち上がっていれば、サーバー構築は完了です。
検証
構築が完了したら、意図した動作ができているかを確認します。
検証で不具合があった場合、設計からやり直しが必要なこともあるため、非常に重要な工程です。
検証で実施する項目は、設計で決めた「テスト計画書兼報告書」に沿って行います。
ここからは、検証内容を4つに分けてそれぞれの内容を紹介します。
単体試験
機器・サーバーソフトウェア単体で行う試験を単体試験とよびます。
基本的に機器単体で起動させて正常に起動するか確認するために実施します。
主な確認項目
・OSが起動すること
・LEDが正常であること
・ポートやインターフェースの異常がないこと
・サービスが起動すること
・各項目が設計書通りに設定されていること
これらの項目で異常がなければ、単体試験は合格です。
結合試験
機器同士を接続して行う試験を結合試験とよびます。
ネットワーク機器やサーバーを接続し、それぞれが動作するか確認するために実施します。
この試験で意図した動きができない場合は、設計書で決めた値と機器本体に設定された値に違いがないか確認します。
値に違いがあった場合は、機器本体の値を修正して試験を続行します。
もし値に違いがなかった場合は、場合により設計の見直しを行う必要があります。
主な確認項目
・ポートやインターフェースがアップしていること
・接続帯域が意図した速度になっていること
・意図した通信ができること
・意図したサービスが確認できること
これらの項目で異常がなければ、結合試験は合格です。
障害試験
接続試験が問題なく完了したら、実際に起こりえるトラブルを発生させて障害試験を行います。
この試験では、設計で決めた冗長構成が機能しているのか、通信停止が発生するのかを確認する非常に重要な試験です。
意図した動作とならない場合は、製品マニュアルやリリースノートをチェックするなど製品仕様の詳細な調査が必要となり、仕様上やむを得ないと判断された場合には設計の見直しが必要になる場合もあります。
主な確認項目
・各機器が故障した場合に通信停止及び切り替わり(フェイルオーバー)が発生するか
・各機器を接続するケーブルに異常があった場合に通信停止が発生するか
・スイッチのポートが故障した場合に通信停止が発生するか
・サーバーのインターフェースが故障した場合に通信停止が発生するか障害が復旧した際に切り戻し(フェイルバック)が発生するか
・切り替わり、切り戻しにかかる時間
これらの障害試験が設計時に決めた値に収まっている場合は合格です。
移行試験
現行動作している機器を更新するため機器を入れ替えたり、増設したりする場合に行う試験です。
そのため、新規に導入する場合、この工程は不要です。
この試験によって、現行動作している機器と新しい機器との混在している環境でも通信できるかを確認します。製品によっては仕様上新旧バージョンの混在ができないものもありますが、いずれの場合においてもスムーズに移行するための手順を事前に検討して試験を行います。
主な確認項目
・混在環境でも通信できるか
・障害発生時でも冗長機能が動作するか
・ネットワーク全体への影響がどれくらいあるか(停止時間など)
これらの項目で意図した動作が確認できれば、合格です。
単体試験、接続試験、障害試験、移行試験を全て合格したら、検証工程は完了です。
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ネットワークやサーバーなどのITインフラはITインフラエンジニアによって支えられています。
そのため、新しいことを行う際には、ITインフラの整備が必要なことも多く、ITインフラエンジニアの出番も多くなります。
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