ITインフラエンジニアの業務内容(要件定義・設計)
DXやIoTなどのデジタル化が進む一方で、サーバやネットワーク、セキュリティなどのITインフラの整備も求められています。
ITインフラを提供するITインフラエンジニアはどのような業務を行っているのでしょうか。
本コラムでは、ITインフラエンジニアの業務内容(要件定義・設計)を紹介していきます。
ITインフラエンジニアの業務内容
ITインフラエンジニアの主な業務内容は、
1. 要件定義
2. 設計(基本/詳細)
3. 構築
4. 検証
5. 導入
6. 保守
の6つに分けられます。
本記事では
1. 要件定義
2. 設計(基本/詳細)
の紹介をしていきます。
要件定義
自社や取引先などで発生している、もしくは発生が予想される課題を解決するために、ITインフラの目線で実施内容を明確化するための定義を行います。
要件定義があいまいだと、この後の工程で大きく修正が入り納期に間に合わないことがあるため、細部まで落とし込んで決める必要があります。
例えば、新しいシステムが導入されるため、ITインフラを整備する場合、
・ITインフラを導入する目的
・ITインフラに求められる機能
・ITインフラの導入にかかる費用
・保守、運用体制など
これらの内容を要件定義書としてまとめます。
設計(基本/詳細)
設計では、前工程で作成した要件定義書に基づき、より具体的な内容に落とし込みを行う工程です。
設計は主に2種類あり、基本設計と詳細設計に分類されるため、それぞれの紹介をしていきます。
基本設計
ITインフラで実施すべき方針を決めます。
要件定義書で決めた内容を具体的な内容まで落とし込んで、設計書やネットワーク構成図を作成します。
例えば、要件定義で新しいシステムのITインフラを整備する場合
・導入するITインフラ機器とシステムの関係性をまとめる
・導入するITインフラ機器の構成がシステム側の要件を満たしているか
・障害時対応の流れ
などの内容を基本設計工程で決めることが多いです。
顧客と決めた内容は設計書としてまとめ、以下の項目で作成することが多くあります。
・機能設計
・概要ネットワーク構成図
・概要テスト計画書
・保守、運用体制図
の4種類です。
機能設計
要件定義で確認した機能・要件を実現するにあたり、対象システムでどのような機能を利用するかをまとめる工程です。例えば負荷分散装置(ロードバランサ)の場合、以下のような機能に着目します。
・負荷分散方式
・ヘルスチェック方式
・セッション維持方式
・冗長方式
などを記載して基本設計書にまとめます。
概要ネットワーク構成図
システムとITインフラの関係性をまとめた資料のことです。
細かな情報は次工程の詳細設計で決めますが、
・システムが導入されるサーバとITインフラ機器の接続方法(LAN・光ケーブル)
・サーバとITインフラ機器間の通信帯域(1G、10G、その他)
・サーバとITインフラ機器間の冗長構成(1本で接続か、複数本で接続か)
・IPアドレス帯
サーバの拡張によるITインフラ機器の拡張性の考慮などを検討して、概要ネットワーク構成図に記載します。
概要テスト計画書
ITインフラがシステム側の要件を満たしているかを確認するための資料です。
詳細な確認方法は次工程の詳細設計で決めますが、
・ITインフラ機器が正しく動作すること
・サーバとITインフラ機器間の通信帯域が出ること
・サーバとITインフラ機器間の冗長構成が正しくできていること
などの観点で概要テスト計画書に記載します。
保守、運用体制図
ITインフラ側での運用や障害発生時の連絡体制をまとめた資料です。
システム利用ができない場合は、ITインフラエンジニアにも必ずと言っていいほど連絡が来ます。
その際に、迅速な対応を行うために準備することが多いです。
上記の内容は一例ですが、基本設計ではこれらの内容を検討して資料に記載します。
詳細設計
基本設計で決めた方針に沿ってITインフラ機器の細部設定を決めていきます。
決めた内容を詳細設計書として、各種資料に落とし込みます。
この工程を行うためには、設定する機器の特徴を知っている必要があるため、ITインフラエンジニアの経験や知識を求められる工程です。
例えば、新しいシステムのITインフラを整備する場合
・各システムに設定するパラメータ
・導入するITインフラ機器とシステムの物理的な接続ポート
・導入するITインフラ機器の台数やバージョン情報
・IPアドレスやホスト名
・テスト計画
などを決めることが多いです。
詳細設計工程で作成することが多い資料は
・パラメータシート
・物理ネットワーク構成図
・論理ネットワーク構成図
・接続管理表
・導入機器一覧表
・テスト計画書兼報告書
の6種類です。
パラメータシート
各システムに設定する値(パラメータ)をまとめた資料です。基本設計に沿った形でパラメータを決めるには技術に対する知識や製品仕様についての理解が必要となります。製品仕様についてはファームウェアのバージョンアップにより変更される場合もあるので、思い込みや過去の資料の流用で行うのではなく、裏付けを得ながら対応することが必要となります。
この資料によって各システムの構築作業を円滑に進めることができ、また障害などによる急な復旧・再構築作業も慌てずに行うことができます。
物理ネットワーク構成図
システムが導入されているサーバとネットワーク機器の物理的な接続をまとめた資料です。
実際に、どのネットワーク機器のどのポートにサーバが接続されているかを視覚的にわかるようにまとめます。
この資料によって、実際のサーバとネットワーク機器間の接続を円滑に行えます。
論理ネットワーク構成図
システムとITインフラ機器の通信の流れをまとめた資料です。ITインフラではシステムが冗長化されたり、VLANなど仮想化された通信経路を用いられることが多く、物理的な構成図だけでは実際の通信経路が読み取れないことがあります。
論理ネットワーク構成図ではシステム間の通信の流れを視覚的にわかるようにまとめます。
この資料によってシステムとITインフラ機器の関係性がわかるとともに、障害発生時の問題箇所特定などに大変役立ちます。
接続管理表
システムが導入されているサーバとネットワーク機器だけでなく、ネットワーク機器同士の物理的な接続をまとめた資料です。
物理ネットワーク構成図だけでは、記載しきれない情報として
・ネットワーク機器の各ポートVLAN情報
・ケーブルの種類やタグ情報
・接続先機器の情報
などをこの資料に記載します。
この資料によって、物理ネットワーク構成図には記載しきれない情報を確認でき、障害発生時やシステム構成変更・拡張時の対応を円滑に行えます。
導入機器一覧表
この案件で導入する機器やソフトウェア、ライセンスなどの情報をまとめた資料です。弊社では機器一覧表に以下のような情報を記載するようにしています。
・製品名
・型番
・ホスト名
・シリアル番号
・ファームウェアバージョン
・設置場所
・用途
・納品チェック
この資料によって、必要なものが納品されているか確認でき、抜け漏れ防止になります。また、導入後の運用保守でも欠かせない資料となります。
テスト計画書兼報告書
基本設計で作成した概要テスト計画書をより具体化して作成する資料です。
例えば、「サーバとITインフラ機器間の冗長構成が正しくできていること」を確認するため、
・どの機器のどのポートをダウンさせて確認するか
・ネットワーク機器がダウンした場合の切り替わり時間は適切か
・ネットワーク機器が復旧した場合の切り戻し間は適切か
などの観点で具体的に資料に記載します。テスト計画書にはテスト結果を記載する欄を設けて、検証工程で実際にテストを実施した結果を記載することでテスト報告書としても利用します。
これらの内容を網羅して、設計工程は完了です。
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ネットワークやサーバなどのITインフラはITインフラエンジニアによって支えられています。そのため、新しいことを行う際には、ITインフラの整備が必要なことも多く、ITインフラエンジニアの出番も多くなります。
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